春から夏にかけての生活雑貨市場は、新生活需要、巣ごもり消費の定着、アウトドアブームの継続といった複数の要因によって活況を呈しています。在宅勤務やリモートワークの定着により、自宅で過ごす時間が増え、快適な住空間への投資意欲が高まっています。ホームオフィス用のデスクやチェア、収納家具、リビングの質を向上させるソファや寝具など、居住空間全体の質を高めるアイテムへの需要が活発化しています。
経済産業省のデータによれば、生活雑貨・家具・インテリア分野のEC化率は2022年に約29.6%に達し、物販全体の平均9.13%を大きく上回っています。オンライン購買の浸透が進む一方で、実店舗では「実物を確認したい」という消費者ニーズも根強く、実店舗とECの双方で最適な売り場づくりが求められています。
また、新型コロナ禍で再注目されたアウトドア志向も継続しており、2020~2022年はキャンプ・レジャー用品市場が活況を呈しました。キャンプ人口は減少傾向にある一方で、キャンプ日数や頻度は増加傾向にあり、本格的にキャンプを楽しむ層が堅固であることがうかがえます。こうした背景から、春夏シーズンには巣ごもり生活の快適化需要とアウトドアなどの余暇活動、両面での生活雑貨需要が成長しています。
春夏シーズン特有の消費者行動とトレンド
エコ・サステナブル志向と機能性の両立
消費者は「エコ・サステナブル志向」と「機能・利便性重視」を両立して求める傾向が強まっています。博報堂の調査では、「地域活性化や暮らしやすさに貢献する商品」を購入したい人が8割を超えており、単なるエコだけでなく、具体的・本質的な課題解決につながる実感を商品に求める動きが顕著です。
価格が高いものには品質を期待する心理から、コストパフォーマンスや耐久性、使い勝手の良さが購買判断の重視点となっています。収納しやすさや手入れのしやすさといった日常的な利便性も、商品選択の重要な要素です。
2025年のカラー・素材トレンド
2025年のトレンドカラーは「癒し」「調和」「洗練」がキーワードとなっています。PANTONEが発表したモカ・ムースや、JAFCAのホライゾン・グリーンといった落ち着きのある自然色が主役です。春らしいパステルカラーや曲線的なフォルムの雑貨も人気を集めており、木・籐などの天然素材や肌触りの良いファブリック素材への注目が高まっています。
買い替え理由と購買動機
日用品購入では多くの消費者が「安定派」で同じ商品をリピート購入しますが、新商品や話題の商品に衝動買いする層も3割ほど存在します。買い替えた理由として「気になる商品に出会った」が約24%で最も多く、既存商品への明確な不満ではなく、魅力ある商品との出会いが購買を促しています。
季節やライフステージの変化に伴う不満で買い替える例もあります。例えば、夏場にオールインワン化粧品のベタつきが気になり、よりさっぱりした乳液に変更するケースや、年齢を重ねてツヤのある化粧品を求めるケースなどです。価格訴求やセット割引も試行買いのきっかけとなります。
春夏シーズン特有のイベントと需要変動
新生活・引越し需要(4月)
進学・就職に伴い、新居用のキッチン用品・収納グッズや寝具、テーブルウェアなどの需要が急増します。この時期は「新生活応援」というテーマで売り場展開を行うことで、まとめ買い需要を取り込めます。
母の日(5月第2日曜)
感謝の気持ちを込めたギフト需要が高まり、アロマ・フラワーベース・リビング雑貨など母向け商品がよく売れます。母の日前にプレゼント提案を強化することで販促効果が高まります。
GW・アウトドアシーズン(5月下旬~)
連休以降はレジャーやピクニック需要が活発化し、BBQ用品、クーラーボックス、ピクニックマット、虫よけ、行楽用バッグなどが売れ筋になります。特に晴天日にはキャンプ・バーベキューグッズの売上が伸びます。
梅雨(6月)
雨天が多くなる6月は、傘やレインコート、除湿剤、防カビグッズが求められます。また、雨で外出が減る分、インドア需要として室内清掃・収納グッズなどが相対的に増えます。
夏本番(7~8月)
気温上昇と紫外線強化で、扇風機・サーキュレーター・冷風機、冷感寝具やサンシェード、涼感インナーなど暑さ対策グッズが爆発的に売れます。Shopify Japanのデータによれば、2025年6~7月の涼感商品(通気性下着+615.9%、サンシェード+1053.6%など)が前年同期比で大幅増加しています。夏祭りや花火大会に合わせて、浴衣用バッグ・扇子・夏祭りグッズも売場に並びます。
季節モチーフ雑貨の活用
桜やミモザ、チューリップ、紫陽花、パンジー、ガーベラなど春夏の花柄アイテムや、海や青空を感じるブルー系雑貨が季節感演出に使われます。韓国インテリアとの相性も良く、若い人を中心に注目を集めているチューリップなど、トレンドを意識した花モチーフの活用が効果的です。
実店舗・ECが抱える課題と対応策
EC特有の課題
ECでは大型商品の配送コスト上昇が課題となっています。燃料高やトラックドライバー不足により送料負担が増加しており、「店頭受取」や「一定額以上送料無料」設定で店舗との連携を強化する施策が有効です。
また、実物確認できない不安が購買の障壁となるため、詳細な商品画像や360度ビュー、AR試着機能を導入して購入後のギャップを軽減する取り組みが求められます。消費者は長期間使用する高額な商品について、購入前に実物を見て、触れて、確かめたいと考えています。ソファの座り心地、テーブルの天板の質感、収納家具の引き出しの滑らかさなど、オンラインの情報だけでは伝わりきらない要素が購入の決め手となることも少なくありません。
実店舗の課題
実店舗では客足減や人手不足、さらに価格競争の圧力が課題です。これらに対し、OMO(オンラインと実店舗の融合)施策やデジタル技術の活用が有効です。例えばAR/VRで商品シミュレーションを提供したり、店舗とECでポイント・在庫情報を連携させるなど、顧客がどちらのチャネルでもストレスなく購買できる仕組みを整備します。
価格競争ではなく価値提案で差別化するため、高付加価値商品や限定品を積極的に揃え、購買体験を高める施策(ワークショップ開催、POP演出強化など)で顧客にアプローチします。
問屋が提供できる価値と専門性
問屋はメーカーネットワークと小売ネットワーク双方の情報・実績を基に「売れる仕入れ」を支援します。多種多様な生活雑貨を一括して仕入れることで、小売店は各メーカーと個別契約する手間や物流コストを大幅に削減できます。問屋が間に入り、さまざまな商品をまとめて保管し供給していることで物流を効率化し、メーカーや生産者、小売業者の物流や保管に関わる業務負担を軽減しています。
また、十分な在庫を持つため、店側は必要に応じて少量発注しつつ、急な需要にも迅速に対応でき、在庫リスクや機会損失を抑えられます。さらに、小売店ごとに異なる客層・売場規模に合わせて最適な商品構成を提案し、販促ツール(POP・動画・チラシ素材)やディスプレイ案なども提供します。豊富な業界知識と実績に基づく提案力と、安定した商品供給体制で、バイヤー様からの信頼を獲得しています。
売れ筋データや最新トレンドを基に、小売店には効果的な品揃えや販促案を一括提供し、メーカーには市場反応をフィードバックします。長年の取引実績で培った品質管理・物流網を活かし、安定供給と安心感を提供。季節提案や商品教育にも対応し、小売店と一緒に売場づくりをサポートします。
春夏シーズンに仕入れるべき理由
春夏シーズンに向けた早期仕入れは、売上機会の最大化につながります。上期は新生活や大型連休、夏休みといった商戦期が集中しており、事前にトレンド商品を確保することで需要ピークに対応できます。
春夏展示会では主要メーカーが新作を発表し、売れ筋アイテムの情報が共有されています。これら旬商品をいち早く店舗やECに投入すれば、顧客に「最新アイテムを扱う店」という印象を与え、話題性を独占できます。また、季節商品の発注は生産リードタイムを見越す必要があるため、早めの仕入れにより希望通りの数量・納期確保が可能です。
早期発注によりメーカーから有利な価格や条件での発注が可能になる場合もあります。問屋の専門家が市場分析を踏まえた売れ筋・用途別の提案を行うため、単なる仕入れ以上の付加価値が得られます。
実店舗での売場構成と演出
春夏の実店舗では季節感と用途訴求を組み合わせた売場演出が有効です。入口付近や通路には春らしい花柄・緑を使ったディスプレイを設けて季節感を演出し、新生活コーナーやギフトコーナー、アウトドアコーナーといったテーマ別ゾーンを明確に配置します。
導入演出
春夏らしいカラー(ペールカラー、ライトグリーン等)や花・海モチーフのオブジェを配置し、季節感を全面にアピールします。LED照明や音楽・アロマで店舗雰囲気を季節に合わせて変え、五感に訴えかける演出も取り入れます。
テーマゾーンの設定
新生活応援コーナー(収納用品×掃除用品)、アウトドア・涼感コーナー(扇風機×冷感寝具×虫よけグッズ)など、連動陳列で関連商品をまとめて見せます。商品は用途やシーンごとにグループ化し、例えば「掃除用品→収納」「洗濯用品→ランドリールーム」「キッチン雑貨→調理・保存」と動線を誘導します。
利用イメージ訴求
実際の部屋や野外シーンを想起させるスタイリング展示を行い、商品を使ったときの生活イメージを具体化します。母の日にはラッピング済みギフト展示、UV・涼感コーナーを設置し夏までの導線を作ります。
POP・プライス表示
分かりやすい販促POPや情報POPで「機能訴求」「セール・セット割引」を明示し、購買を後押しします。POPやサインにはキャッチコピー(例:「春の片付け特集」「夏の快適生活」)や清涼感のあるビジュアルを用い、買い場に注目を集めます。
導線設計
人が自然に通る通路に沿って季節の特設棚を配置し、入口から奥まで回遊性の高い導線を作ります。
ECページの見せ方と動画活用
ECサイトでは、季節感と用途・イベント訴求を組み合わせて表現します。トップページや各カテゴリーページに春夏向けバナーを設置し、「新生活特集」「母の日ギフト」「アウトドア特集」「夏の快適グッズ」など用途別の特集ページへ誘導します。
季節特集バナー
春夏カラーのバナーで季節感を演出し、特集ページ(例:新生活セット、クール寝具特集)へ誘導します。商品ページでは清涼感のあるビジュアル(涼しいブルー系、緑色等)を背景に使用し、商品写真には使用シーンやビフォーアフターを盛り込みます。
用途訴求
商品一覧上部に「アウトドア用品」「暑さ対策」「掃除・収納」「ギフト」などジャンル別リンクを置き、消費者の目的別検索をサポートします。
動画・詳細画像の充実
商品の使い方・機能を説明する短尺動画や高解像度画像を掲載し、実物を手に取るような体験を提供します。動画コンテンツも活用し、収納術のデモ動画や、涼感素材の触感・効果を伝える動画を商品ページやSNSで発信します。
クロスセルとレコメンド
商品ページ下部に「組み合わせ例」や関連商品のバンドル提案を表示し、客単価アップを図ります。関連商品のレコメンド表示や「○○を購入した人はこちらも購入」「セット売り提案」を充実させることで、併売・追加購入を促進します。
レビュー・SNS活用
顧客レビューやSNS投稿を掲載して使用感をアピールし、購買安心感を高めます。
セット販売・併売提案で客単価アップ
セット販売により客単価を上げる施策は有効です。春夏向けでは、以下のようなセット提案が考えられます。
- 整理&掃除セット:収納ケース+掃除道具セット、ブラシ・モップ・洗剤+収納ボックスなど、整理整頓の流れを考えた組み合わせ
- 爽快バーベキューセット:ポータブルコンロ+クーラーボックス+虫よけセット、ポップアップテント+ピクニックシート+虫よけスプレーのアウトドア三点セット
- 涼感寝具セット:冷感敷パッド+涼感枕カバー+扇風機、冷感敷パッド+アイスノン+扇風機で快適夏寝具一式
- キッチン×掃除用品:まな板+キッチンクリーナー、包丁・まな板・調理ボウル+抗菌スポンジなど調理効率アップセット
- 花粉・埃対策セット:空気清浄機+抗菌フィルター
ギフト需要を狙い「母の日バンドル」(花瓶+フレグランス+スイーツ、花瓶+和紅茶+アロマキャンドル)、「新生活スタートセット」(調理器具フルセット+保存容器セット、進学祝いに食器+カトラリーセット)なども訴求します。セット販売では個別購入時より割安感を出したり、購入特典を付けてお得さを強調します。
販促素材・キャンペーン企画
販促では春夏シーズンのテーマに合わせたキャンペーンを展開します。
シーズンフェア
春は「新生活応援フェア」と題し、整理収納・インテリア関連商品のディスカウントやポイント還元を実施。母の日にはギフト特集を組み、感謝メッセージカードなど販促ツールを配布します。夏は「涼感グッズ大集合」セールを打ち、クーラーバッグや冷却剤のプレゼント企画、抽選会を実施するのも効果的です。
新生活フェア、母の日フェア、夏の暑さ対策フェアなど期間限定催事を企画し、対象商品を割引またはおまけ付きで訴求します。
ノベルティ・特典
購入者にオリジナルタンブラーや扇子、エコバッグなど季節アイテムをプレゼントするキャンペーンを実施します。
SNS・Web広告
インスタライブやYouTubeで商品紹介、インフルエンサータイアップで話題作りを行います。SNS・Web広告では「#春インテリア」「#涼感グッズ」などハッシュタグキャンペーンを行い、ユーザー投稿を促します。Google・SNS広告で「春のインテリア」「夏の涼感」キーワードを狙います。
コンテンツ配信
メルマガ・ブログで収納術や料理レシピ、防災リストなど季節コンテンツを提供し、購入につながる情報発信を行います。
店頭ワークショップ
実店舗で収納講座や簡単DIY体験会を開催し、コミュニケーションを強化。オンラインではクイズやプレゼント企画でエンゲージメント向上を図ります。
店頭用に作成するチラシ・POPはビジュアル重視で季節感(桜、青空、涼感イラスト)を出し、キャッチコピー(「夏の快適生活」「整理整頓でおうち時間充実」など)を載せます。
季節連動型の仕掛けで継続的な売上を
年間を通じた季節連動施策で継続的な売上を狙います。
天候連動企画
気象情報を活用し、気温や湿度の変動に応じて特定商材の仕入れ量や価格訴求を調整します。例えば猛暑予報時に冷感寝具やスポーツ飲料を前倒し展開することで、タイムリーな需要を捉えます。長雨予報で傘・除湿機割引、猛暑時は冷房家電の週末セールなど、天候予報に応じた短期企画が効果的です。
イベントスケジュール
販促カレンダーに沿い「4月=春の片付け週間」「7月=熱中症対策週間」などテーマを設定し、毎年恒例のプロモーションとして定着させます。年度予算期に合わせた決算セールや、地域夏祭り期間に「祭りグッズ特集」などカレンダー連動キャンペーンを展開します。
地域連携
地域行事や大型スポーツイベント開催時は、それらに合わせた商品訴求も検討します(例:地域の海開きに合わせて海辺グッズを強調)。地元名産品や観光イベントとコラボした販売企画(地産地消グッズや観光客向けノベルティ)で地域連動型マーケティングを行います。
定期プロモーション
四半期ごと・月例でテーマを変えたタイムセールを行い、顧客の再来店を促進します。
オムニチャネル施策
OMO施策では、オンライン購入で店舗受取を促すインセンティブや、来店客にSNSフォロー特典を渡すなど、リアルとデジタルを連動させた仕掛けも効果的です。オンライン購入時に店舗クーポンを付与、店舗来店客にECクーポン配信など、購買チャネルをまたいだ販促を行います。
まとめ:仕入れの先に、売れるをつくる
春夏の生活雑貨カテゴリーは、新生活需要、巣ごもり消費、アウトドアブームという複数の成長要因を背景に、大きなビジネスチャンスを秘めています。成功の鍵は、季節感と用途訴求を組み合わせた売り場づくり、実店舗とECの特性を活かした最適な展開、そして早期の戦略的仕入れにあります。
問屋が提供する価値は、単なる商品供給にとどまりません。市場データとトレンド分析に基づいた商品提案、効率的な物流体制、販促ツールの提供、そして小売店様と一緒に「売れる売場」を創出する伴走型のサポート。これらすべてが「仕入れの先に、売れるをつくる」というブランドメッセージを体現しています。
春夏シーズンの仕入れ計画は、年間売上を左右する重要な戦略です。消費者の潜在ニーズを捉え、季節イベントに合わせた提案力を磨き、実店舗とECの両輪で顧客体験を最大化することで、競合との差別化と持続的な成長が実現できます。
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